株式会社デジタルガレージが主催する「The New Context Conference 2015」が2015年7月6日、7日の2日間で開催されました。今後、世界のスタンダートになるであろう技術やサービスについて、熱気あふれる議論が交わされる2日間となりました。とくに「デジタル通貨の未来」というテーマに関するセッションでは、「未来の買い方」を考えるきっかけとなる興味深い内容でした。
伊藤穰一氏(株式会社デジタルガレージ取締役、MIT Media Lab所長)の、「現在の日本は、デジタル通貨に関する分岐点のタイミング。デジタル通貨を自分のビジネスにどう役立てていけるか、ぜひ考えていただきたいです」という挨拶でセッションはスタートしました。

利点は転送が簡単で、仲介業者も不要なこと

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まず「デジタル通貨とは何か」について、Brian Forde氏(MIT Media Labのデジタル通貨のディレクター)は、「ビットコインは、ある人から別の人へ簡単にお金や資産を転送することができる方法。また、仲介人や手数料を必要としません。ハンコによる認証プロトコルが何十億ドルもの資産をコントロールしている...そんなアナログのプロセスそのものを、ビットコインはデジタル化しているのです」と、ビットコインの機能について説明しました。また、Forde氏は「アメリカ政府はビットコインを、社会福祉での活用も視野に検討している」と言います。デジタル通貨を使うとコストが節約できますし、透明性や監査能力も高められるのです。その他の金融サービスへの利用もいろいろ考えられますから、あらゆる企業にとってチャンスにつながる可能性があるでしょう。

受け入れられるための方法を考える必要がある

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次に、「デジタル通貨の現状」についてJeremy Bonney氏(CoinDesk社CEO)は、「ビットコインは2014年に価格が下落したものの、再び成長フェーズに突入しており、すでに21社ものビットコイン関連会社に、黎明期のインターネットよりも巨額の投資が行われています。今年度のビットコイン関連へのベンチャーキャピタルの投資は、7.2億ドル程度になるでしょう」と、希望的観測を述べました。

しかし現状として、問題点もあります。「デジタル通貨には変動性があったり、受け入れるためのプロセスが面倒だったりして、デジタル通貨の採用店舗数や、顧客が支払いにデジタル通貨を使う件数はあまり伸びていません。ただし、トランザクションは増えているので、トレーディングの手段としては活発に使われているようです。国境を越えた支払いや送金のコストを削減できる手段として、デジタル通貨をアピールするべきかもしれません」とBonney氏は言います。

デジタル通貨を広く受け入れてもらうためには、プロセスやアピール方法を考えていかなければならないということでしょう。

実際に世界へ飛び出して、ニーズを探しに行くべき


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パネルディスカッションでは、伊藤穰一氏、Brian Forde氏、Jeremy Bonney氏、Joyce Kim氏(Steller.orgのエグゼクティブディレクター)、大石哲之氏(一般社団法人日本デジタルマネー協会・理事)、Satyen Kothari氏(UX、プロダクト開発、戦略などさまざまな分野で20年にわたる経験を積んでいるアドバイザー)という豪華なメンバーが「世界に広がるデジタル通貨」について議論を交わしました。

伊藤氏は、「デジタル通貨の標準化は価値のあることですが、一方で、可能性や多様性を失ってしまうことにつながるかもしれない。どこでバランスを取るかがイノベーションの課題でしょう」と切り出しました。
まずは大石氏が、「日本では今、ビットコインのスタートアップが次々と誕生しています。とくにアプリなら、ゲームやリワードの仕組みで貢献できるかも」と日本の状況を語りました。Kothari氏は、「インド政府は通貨のデジタル化を強く勧めようとしているため、インドにおいてデジタル通貨は今後10年のうちにクレイジーな段階に入るでしょう」と予想しています。

また、「ビットコインはどのような国で発展していくのか?」という問いに対し、Forde氏は「アルゼンチン、コスタリカ、メキシコ、ブラジルなど、大きな災害や金融危機から脱出したところにはニーズが出てくると思います」と話し、Kim氏も「ビットコインは透明性が高いので、アフリカ、サハラ、インドネシア、フィリピン、ケニアなど、教育レベルが高くても金融インフラが整っていない地域では伸びるかもしれません」と持論を述べました。続けてBonney氏も「今は日本の投資家が東南アジアのビットコイン市場に投資を行おうとしているのが興味深いです」とアジアへの着目を語りました。

いずれのメンバーも、「デジタル通貨による助けを必要としているところは必ずあるはず。そこを自らの足で探しに行くべき」と、積極的に世界の様子をリサーチする必要性を訴えていたのが印象的でした。デジタル通貨が今後どのように日本で、そして世界で普及していくのか、注目していきたいところですね。

THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2015 TOKYO

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