新経済連盟が主催する「新経済サミット」が2015年4月7日、8日の2日間で開催されました。時代を刷新するイノベーションを見据えたセッションが多数行われ、「新しい時代の買い方」について考える我々にとっては貴重な示唆を受けられるイベントとなりました。


ベンチャー成功の秘訣は失敗と情熱と運?

オープニングセッションでは、茶尾克仁氏(DCM Ventures 共同創業者)、デイビット・ホーニック氏(August Capital、ミキ・クーシ氏 (Slush 創設者)、スコット・スタンフォード氏(SherpaVentures 共同創業者)というそうそうたる面々が「ベンチャー成功の秘訣」について議論を交わしました。

スコット・スタンフォード氏は自身も投資を担当していたというUberを例にあげ、「ボタンをクリックすると、サンフランシスコで車を動かすことができるようになった。今後はますますユーザーごとの要求に答えるオンデマンド型でサービスの変化をおこしていく時代になるだろう」と言います。

スタートアップ企業を集めたイベント「Slush」を主催しているミキ・クーシ氏。当初参加者150名程度のローカルな規模で開催していたSlushを、2011年から2014年の間で大きく成長させ、2014年には79ヶ国から14,218名が参加する世界最大級のスタートアップイベントになりました。なぜSlushが同様のカンファレンスと差別化できたかについて、ミキ氏は「イベントの専門家でない人間が集まり、自由な発想で考えていた」と振り返り、またフィンランドの首相、FacebookやTwitterの経営陣を呼ぶなど「コンテンツを重視していた」と分析していました。

情熱を持って、とことん貫く

「ベンチャー成功の秘訣とは?」という問いに対して、みなそれぞれが自身の経験から熱く語っていたのが印象的でした。スコット・スタンフォード氏は「結果はすぐには出ない。10年後に答えが出るもの。とにかく情熱を持ってください」と言います。

ミキ・クーシ氏は自身の経験から「なにがあってもあきらめなかったから成功した」と。さらに「一回で成功することはないので試行錯誤することが大事。周りに成功をあきらめない仲間がいれば何度もチャレンジできる。」と言います。

デイビット・ホーニック氏は先述の「情熱を持って」を踏まえて、「とことん貫くことが大事」と言います。「ちょっとクレイジーな覚悟が必要だ。『狂気的』なまでにアイデアを貫くという思いを持って」そして「運も必要」と付け加えます。

茶尾克仁氏は少し違った角度から、「自分より優秀な人を採用しよう」と提言。また、日本にいる岩瀬さん(セッションのモデレーターを務めたライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 岩瀬大輔氏)や、楽天の三木谷さんなどのすばらしい起業家から学ぶことが大切だと言います。

スタートアップ・コンペティション、優勝はPopSlide

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NES Startup Competition。ここではスタートアップ9社がそのプロダクトを投資家に向けてプレゼンを行いました。審査員からのコメントではプレゼンターに対する賞賛や、今後のサービス展開に関するアドバイスもあり、オーディエンスと一体になって盛り上がるイベントでした。司会の本荘修二氏の和服も印象的です。

なかでも多くのオーディエンスや審査員の支持を得たのがYOYOホールディングスが手がけるアプリ「PopSlide」。

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これは公開から10日間で10万DLを突破した、東南アジア最大のモバイルリワードプラットフォームです。現在、インドネシアとフィリピンで利用でき、月間3億ビューにもなるというスマートフォンの「ロック画面」に広告を配信します。ユーザーは、ロック画面の解除や表示されたコンテンツを読むことで、プリペイド携帯の利用料金を獲得できるという仕組み。スマホでインターネットをするためにはプリペイドカードが欠かせない東南アジア地域をターゲットにした広告ビジネスです。マーケットのスケールが大きく、ビジネスモデルも明確だったところが評価のポイントでした。

※イメージ動画はこちら

(動画はinfinytyVenturesSummitで使用されたものです。)

参照記事 

安倍首相「シリコンバレーの風を届けたい」

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安倍首相によると、海外の投資家たちによる日本への直接投資は昨年、約3倍に増えたそうです。外国企業から見たアジアの投資先の関心度調査においては、それまで全項目で中国が1位でしたが、今回R&D拠点そして販売拠点で、日本が1位を獲得したとのこと。全世界で見ても、世界経済フォーラムの競争力調査で、日本は9位から6位に上昇しており、非常に好調だったと言います。

IT分野について安倍首相は、「絶えずイノベーションが起こり、世界をリードする新産業が続々と誕生する、是非そのような国をみなさんと一緒に作りたい」と語りました。「今度、訪米した際にはシリコンバレーの新しい風に自ら当たり、どうしたら日本にもこの風を届けることができるか考えたいと思っています。」と、未来の抱負を語りました。

参照記事 

世界で勝負する、キーワードは「多様性」

楽天株式会社の代表取締役兼会長であり、新経済連盟の代表理事を務める三木谷浩史氏とジョージ・ロバーツ氏(KKR & Co. L.P. 共同創業者)との会話で出てきた「多様性」というキーワード。「シリコンバレーにあるスタンフォード大学の遊歩道は誰にでも解放されていて、そこにはほぼ全ての国の人がいる。すなわち多様性がある。世界中の人たちと仕事をし、協力することができる。」という言葉が印象的でした。新経済サミットのプログラムを見ても、英語でのセッションがほとんど。前述のスタートアップ・コンペティションも全員が英語でプレゼンを行い、また、プレゼンで優勝した「PopSlide」手がけるYOYOホールディングスは日本ではなく海外で起業した会社というのも、「多様性」を考えるうえで印象的な出来事でした。Eコマースに関しても、世界に進出していく企業がますます増えていくのでは。今後、越境ECの動向にも注目してみたいですね。

新経済サミット公式ホームページ

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