アジア圏のスタートアップ情報を発信するメディア「Tech in Asia」によるイベント「Startup Asia Tokyo 2014」が昨年9月、日本で初めて開催され、日本やアジアのさまざまなスタートアップが登壇しました。その中で今回はEコマースに関連したスタートアップに注目してご紹介します。

Luxola美容にフォーカスし、東南アジア市場を攻めるLuxola

Luxola(ルクソラ)」は東南アジア市場最大規模の美容ECです。人気の鍵となっているのはコンテンツ、カスタマーサービス、商品のセレクション。「LXEDIT(ルクセディット)」という美容に関するニュースを扱ったオウンドメディアも人気です。そもそもなぜ美容にフォーカスしたのかについて、同社CEOのAlexis氏は「需要が多いにもかかわらず、市場が満たされていないと感じていたからです。」と説明していました。東南アジアの美容市場は成長しており、2013年には70億ドル規模、2016年には95億ドルに伸びると予測されています。そのような中、Luxola(ルクソラ)のタイ、インドネシアにおける昨年度の売上高は、一昨年の4倍に至るまで伸長し、軌道に乗ることに成功しました。「東南アジアは若くてロイヤリティの高い客層が多い」Alexis氏は言います。さらに、今後も所得があがる見込みの若い世代の人口が多いとも言われています。Alexis氏は、これから社会人になる新卒1年目の女性たちが、いずれロイヤルカスタマーになると見込んでいます。最後に、Luxola(ルクソラ)のこれからの展望についてAlexis氏は「今後は東南アジアにおけるブランド浸透率を高め、オンラインだけでなく高島屋などのオフラインにも展開したいと考えています。また、インド、ベトナムにも今後は展開したいです。東南アジアで一位になるにはこれらの拠点をはずすことはできません」と熱く語りました。

End-of-copy-to-China.jpgEnd of Copy to China

スピーカーであるInfinity Venture Partnersの田中章雄氏は「これからは中国をコピーする時代だ」と言います。その事例として取り上げられたのが「yongche(ヤンシー)」です。昨今、日本では「Uber(ウーバー)」や「Hailo(ヘイロー)」などのリムジン配車支援アプリが話題になり、中国でも早々に同様のアプリが登場しました。Yongche(ヤンシー)について「最初はウーバーの50%程度の機能しかない劣化版に感じた」と田中氏は言います。しかし、トライ&エラーを繰り返すうちに精度があがり、今では先にリリースされた欧米のそれを上回るくらい充実したアプリになっているそうです。たとえば、タクシーが配車予定時刻より遅延した場合はドライバーにペナルティが課せられたり、気に入ったドライバーをユーザーが選べるなど、ユーザーライクなサポートが充実してきています。ただ単純にアプリの使い勝手がよいというだけでなく、ドライバーの教育もされているという点においても、今後中国のビジネスはおおいに注目すべきでしょう。

ookbeeタイ発ASEANナンバーワン電子書籍プラットフォームOokbee

タイの電子書籍配信アプリ、「Ookbee(オークビー)」はApp Storeトップ10に80日間もの間、ランクインしていた人気アプリ。日本での知名度は低いですが、タイ国内の電子書籍配信市場において90%という圧倒的なシェアを誇っています。「もともとデジタルコンテンツはタイ人にはウケないと言われていた」と同社CEOのMoo(ムー)氏は言います。ムー氏いわく、タイでは所得に対して書籍の値段が高い傾向にあり、わざわざ購入するという習慣があまりなく、電子書籍もウケないと思われていたようです。ですが、タイでは友人同士で書籍を回し読みする習慣があり、実は買わないだけで、読者ターゲットは多く存在しました。そこへ、安価に電子書籍を配信することができるOokbee(オークビー)が登場し、消費者に受け入れられたのです。また、出版社も積極的にコンテンツを載せたいと考えており、プラットフォームを普及したいOokbee(オークビー)とコンテンツを流通させたい出版社との思惑が合致したというわけです。タイにおける電子書籍プラットフォームの最大の問題点は「決済」。まだまだクレジットカードの浸透率が低いタイでは、決済においてさまざまな工夫がされています。たとえば、携帯電話のSIMカードに課金することで購入できるようにしたり、通信会社と組んで電子書籍購入をパッケージ化したり、セブン-イレブンで現金で支払えるようにしています。最後に、「まだまだ電子書籍プラットフォームを盛り上げていくつもりだが、今後はオーディオブック市場も創っていきたい」とムー氏は意気込みを語りました。

(※アメリカでは、オーディオブック市場規模が2013年には1,600億円に達しており、消費者の間でのスマートフォン所有の増加にともなって、今後も数字は伸び続けると予測されている。参照元はこちら)

gree次の10年は広い意味でのEコマース

最近、「介護のほんね」や「スマートシッター」など新しい事業にチャレンジしているグリー。それには理由があると言うCEOの田中良和氏。彼は「事業を考える上で、我々が新規参入しようとしているマーケットは今後大きくなりつづけるのかという仮説を大切にしている」と説明しています。モバイルやゲームなどの事業はそのような仮説をたててやってきて、それらがある程度成長してきた。次は何かと考えた結果、でてきた答えが「Eコマース」で、「これから10年間のうちにくる大きなトレンドは今までの狭い意味でのEコマースではなく、アメリカのUber(ウーバー)のような広い意味でのEコマースだと思っています。」と田中氏は言います。

スマートシッターは家庭と保育者を顔が見える形でつなぐ居宅訪問型サービス。利用登録は無料で、保育利用料金が収益になります。利用者が安心して依頼できるよう、ベビーシッターは面談と研修受講が必須。つまり、ただITを利用してマッチングするというだけのサービスではないのです。「チャイルドケアがビジネスになるのか?」という質問に対し「スマートシッターにおいてはブレイクスルーすれば、家にいるお母さん向けのビジネスなどいろいろな展開が考えられる」と答える田中氏。また、スマートフォンが普及し、いつでもどこでも、気軽に様々なサービスを利用できるようになった状況をふまえ、それまでは考えもつかなかったビジネスが、今では当たり前になってきていると語っていました。今後の新しい事業について「スマホに特化するとブレイクスルーするような、新しいトレンドをどの分野でやればいいか考えている。」と、スマートフォンがあるからこそ成立するビジネスの構想を練っている様子でした。今後のグリーの動向に注目です。

スタートアップにおいて「Eコマース」は外せないキーワード

DeNAの南場智子氏の登壇で開催初日からおおいに盛り上がった同イベントは、2日間で40名をこえるスピーカーが登壇。全体を通じてEコマース関連の話題は数多く、グリーの田中氏が語ったように「今までの狭い意味でのEコマースではなくて、広い意味でのEコマースというのが次にくる10年間になる」のを感じさせてくれるイベントでした。
当日の様子は下記サイトにも詳しく書かれているので興味がある方は参考にどうぞ。

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