1800万人以上ものファンに愛されているFacebookページや、自社サイト「Tokyo Otaku Mode Premium Shop」を通じて、海外向けに、世界に誇る日本のオタク文化に関する商品を販売したり、最新情報を発信したりしている「Tokyo Otaku Mode」。今回は、CEO・亀井智英氏に、「Tokyo Otaku Mode」の魅力や、今後の展望などについてお話を伺いました。

――これまでにおもしろかった企画や、特に反響が大きかった商品はありますか?

今は原宿カワイイ系のアパレルに力を入れています。海外のインフルエンサーに服を着てもらって、写真を上げてもらうという企画は、売上が伸びました。

また、中に何が入っているかわからない福袋企画もヒットしましたね。

それから、「寿司ソックス」は非常によく売れた商品です。「これってオタク的なアイテムなのかな?」と思いつつ入荷してみたら爆発的に売れて、届いた人たちが写真をSNSなどにアップし始めたんですね。そしたらアメリカのテレビ局や、ドイツ、フランスの出版社からも連絡が来て驚きました。それまでは男性向けの商品が多かったんですけど、ファンシーグッズやアパレルなどのアイテムが増えていくごとに女性のユーザーを中心にライトなファン層も増ました。

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よく「海外で何が人気ですか?」と聞かれますが、「海外だとこれが売れるでしょ」と押しつけるよりも、お客さんからの問い合わせがヒットを生むことが多く、僕たちがお客さんに人気商品を教えてもらっている感じです。トライ&エラーを繰り返さないと何がヒットするかはわからないので、いろいろ試していきたいですね。

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――確かに、ヒット商品の予測を立てるのは簡単ではなさそうですね。また、商品のラインナップを充実させるのに、苦労することはありますか?

お客さんの要望で一番多いのが「商品数を増やして」ということなので、人気作品のグッズなどはどんどん増やしていきたいと思っています。でも現状として、アニメ化や映画化されている作品は権利関係が複雑になっていて、それらの商品を扱うのが非常に難しい。とはいえ、正規の商品がちゃんと輸出されないせいで、海外では偽物が横行しているので、今はそういった権利関係を調整していくことに力を注いでいきたいと考えています。

「大人の事情で売れません」というのは、お客さんからすると何の関係もないことですからね。

――ユーザーが本当に望んでいる物を届けられるようにすることが、違法な商品を減らすことにも繋がるかもしれませんね。

海外で、日本のコンテンツに触れる最初の入口は違法な商品や海賊版だったりすることが多いんですけど、そこはTOMがちゃんとしたきっかけを作っていきたいと考えています。

また、今後の日本はほぼ確実に人口が減るので、海外からお金を得ることも重要になると思います。そのためにCOOL JAPAN FUND(以下CJF)も設立されましたし。

――そのCJFから、TOMが出資を受けることになった経緯を教えてください。

CFJには、衣・食・伝統工芸・コンテンツなどの投資項目があり、そこにTOMがぴったり合うということで、ご縁があって声をかけていただきました。

――出資を受けるようになって、変わったことはありますか?

周囲からの信頼度は上がったように感じます。また、CJFに持ち込まれる相談事などが僕らのところにも来るようになりました。

ですが、今だTOMの日本における知名度は低いままのように感じています。国内でなく海外向けに事業を行っているので、仕方ないことかもしれませんが。

――海外向けECという点で、興味深いケースなどはありますか?

おもしろいのは、グローバルサービスなので、「どうしてこんな場所の人が購入を!?」というケースがあることでしょうか。エリア別の売り上げを見ると北米が一番大きいのですが、今までの累計でTOMの商品を一番多く買っているのは、インドネシアの女の子。毎日同じ時間帯に、商品の金額や傾向もバラバラなんですけど、何かしらの商品を買っているんですよ。どうやらインドネシアには飛び抜けたお金持ちがポツポツ出てきていて、TOMで自分の欲しいものをたくさん買っているみたいなんですね。そういった世界情勢のようなものがわかるのも興味深いですね。

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――対照的に、海外向けECという点で難しいと感じることは?

海外だと、ECに対していまだに「クレジットカードを登録するのが怖い」「本当に届くのかわからない」というイメージを抱かれている場所もあるんです。特に東南アジアはその傾向が強いですね。イベントでインドネシアに行ったとき、持っていった商品が全部売り切れたんです。その後に来たお客さんに、「僕らはWEBサービスをやっているから、ぜひ商品はそこで買ってください」と言ったら、「TOMのことは知っているけど、何かを買ったことはない。TOMが実在するとは信じていなかった」という答えが返ってきて、びっくりしました。

日本人はもうECにあまり抵抗がないけど、海外にはまだ慣れていない人も多いので、僕らが実在することを伝えてあげられるきっかけを作ることが大事だなと思っています。ネット上でのプロモーションだけではなかなか難しいので、最近は海外でのリアルなイベントに参加して、TOMのビラを配ったりしています。とりあえず僕らが実在することを教えてあげて、信用してもらわないとという感じですね。ゲリラ戦に近いですが、ECは本来、そう簡単にはいかないものだと思っていますから、必死で走りながら転ぶ...トライ&エラーを繰り返すのがいいんじゃないかなと。

――TOMだと、ECで単に商品を販売するだけでなく、新人クリエイターの発掘なども積極的に行われていますが、そういったことも当初から考えられていたんでしょうか?

そうですね。海外のユーザーに日本のクリエイターの商品を見せたりして、日本のコンテンツに触れる機会を作ってあげたいと思っているので、その一環としてクリエイターの発掘を行っています。

TOMがファンとのコミュニケーションの場になればとも考えているので、クリエイターさんに海外から届いたファンレターを翻訳してあげたりもしていますよ。

――メジャーなキャラクターグッズなどと、新進気鋭のクリエイターの作品では、売れ行きや売れ方に違いはありますか?

今は商品点数が3万点以上ある上にメジャーな商品も増えたので、個人作品の売上が大きいわけではありません。でも、育成ラボのようなイメージで、「文化を作る」ということを目指しているので、いずれTOM発のスターが1人でも出て、他のクリエイターへの注目も高まってくれればいいなと思っています。

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――これまでにもいくつか伺ってきましたが、TOMの今後についてはどんな展望がありますか?

対外的には、「2020年までに売上100億円」という目標を打ち出しています。ヒト・モノ・カネがそこまで潤沢ではないから、まだあまりリスキーなことはできないのですが、今は蓄積したデータによってどういった商品が売れるのかわかり始めてきたので、それを生かしてオリジナルの商品開発に関して動き始めています。

未来に関しては、街中でTOMのバッグを持って歩いている人がいたらすごくいいなあと思うんです。そうなれば「オタク文化で世界をハッピーに」というビジョンをほぼ達成できたんじゃないでしょうか。

日本では「オタク」という言葉はネガティブなイメージから、「何かが好きな人」「何かに特化している人」を表すものとして変化し始めています。でも、海外では「オタク」という言葉にまだイメージがついていないので、TOMの考える「オタク」のカッコいいイメージをつけて、TOMをブランド化していきたいですね。

それに、2020年の東京オリンピックが終わっても、海外から日本にたくさんの人が来ると、TOMのシンボル的なものがあるといいなと考えています。例えばTOMのホテルでもいいですし、TOMフェスとかでもいいでしょう。「TOMって、よくわからないけど楽しい」「日本のコンテンツを楽しむきっかけはTOMでしょ」と感じてもらえる1つのブランドになることが目標です。

TOMをECだけで終わらせるつもりはまったくありません。いつかは自分たちでコンテンツを作ったり、クリエイターを支援したりしながら、TOMを大きくしていけたらいいなと思います。

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――では最後に、『新しい時代の買い方、買い物の仕方』とはなんだと思いますか?

僕は服とかはどれを選べばいいかわからなくて面倒だから、買い物が得意じゃないんです(笑)。いろいろなものを「あなたにオススメなのはこれですよ」とレコメンドしてもらえるようになってほしいです。あとは、なくなった日用品などがオートメーション化されて届く仕組みになればうれしいですね。

でもその一方で、それだけではあまりよくないとも考えていて。

僕、「食べログ」の信者だったんですけど、食べログが好きすぎて、点数が3.5以下の店には行けなくなっていたんです(笑)。飛び込む勇気がなくなってくるんですよね。

ネットばかり使っていると、自分の感覚が鈍っていくなと思っていて、買い物が便利になってほしい反面、便利になりすぎると今まで研ぎ澄まされていた能力が衰えるなど、いいとこ取りはできなさそうな気がするので、難しいところですね。

あとは、とにかく日本の商品やサービスは最高なので、将来的には海外の人がもっと日本に来たらいいのにと思います(笑)。「日本は最高だから、どんどん日本に行ったほうがいいよ」と海外の人同士で伝え合ってほしい。もっと海外の人が日本のよさに触れて、日本の物を買ってくれる時代になればいいですよね。

――ありがとうございました。

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