「お寺」「古民家」「映画館」など、バラエティに富んだレンタルスペースや貸し会議室を簡単に予約できるサイト「スペースマーケット」。スタートアップ時には100スペースだった取扱数がリリース1年余りで約3,000スペースへと拡大し、急成長を遂げている注目のサイトです。運営会社の株式会社スペースマーケット代表取締役CEO 重松大輔さんのインタビュー後編では、急成長を可能にした理由、経営や組織運用のポイント、今後の戦略について伺いました。

「既存のビジネスの置き換え」を強く意識

――ある記事で、リリース2カ月でユーザーに提示された見積額が9,000万円、御社はそのうち20~50%の手数料を売上としていると読みました。

現在は20~35%ですね。

――急成長と言っていいと思います。この成功はなぜ可能になったとお考えですか?

まだ成功とは言えないのですが、ひとつ言えるのは既存のビジネスの置き換えだということですね。そこは非常に意識しています。企業がイベントを行う時に場所を借りる場合、従来は自分たちで探すか、旅行会社に委託するという選択肢がありましたが、探すのが面倒だったり、選択肢が狭いのでいつも同じ場所になってしまうなどの不満があり、要望をカバーしきれていませんでした。今は景気がいいのでホテルのレートが高い一方で、結婚式場には空きがあります。付随するケータリングも伸びていて、イベントのプレイヤーもたくさんいます。そこで、場所をもっと自由に上手く活用できるように、ビジネスを最適化したことがよかったのだと思います。

――会社が急成長していく過程では、組織づくりが非常に重要になってくると思います。経営や組織運営について重視している点を教えてください。

どれだけ優秀な人を、自分より優秀な人を採用するかですね。自分がお金持ちになろうということではなく、世の中をハッピーにしたい、そのための手段としてビジネスがあって、当社の志に共感してくれる人を意識して採用するようにしています。

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――現在のチーム編成を教えてください。

エンジニア・チームがデザイナーを含めて5名、セールス・ビジネス開発が8名、バックオフィスが2名の合計15名です。立ち上げ当初は2名でした。

――エンジニアが思ったより少人数ですね。サイトを拝見すると、スマートフォンを強化してつくっていらっしゃるようにお見受けしますが、今後はより強化していくお考えですか?

そうですね。これからはスマートフォンが間違いなくトレンドになるので、現在アプリのリリースも準備しています。エンジニアも強化する予定です。いずれ、個人のお申し込みはスマートフォンから、企業の大規模案件のお問い合わせは電話でいただくという流れにしたいと考えています。

――起業から激動の1年だったのではと思いますが、とくに苦労されたことはありますか?

苦労だらけなのですが、意外とみなさんやさしいなと思いました。もちろん大企業との交渉は時間がかかりますし、たまに足元を見られることもありますが、共感してくれる方も多いです。

――御社や重松さんのどんなところが共感されたとお考えですか?

我々はチャレンジしたい人をどうサポートするかを常に考えています。何かイベントをしたいと思っても、場所が手配できないという機会ロスを防ぎたいです。予算が少ないけれども志はあるというお客様を、いかにビジネス的な折り合いをつけてサポートするか、それを全員が意識して仕事をしているところが評価されたのではないかと思います。

――今までに、実現のハードルが高いご要望はありましたか?

ありますよ。飛行場を借りたいとか。そんなときは、さまざまなルートから当たって交渉をしています。当たるところを間違えると断られますが、正しいルートを行けば「それ、おもしろいから実現させよう」という流れに持っていくことができます。我々が交渉に当たるときは、たいてい複数の案件を用意しますので、商談の過程でライトパーソンが見えてきます。大きな箱をもっているイノベーターから入っていくなど、コテコテの法人営業もしています。ただ、基本的には不稼働物件を活性化する事業なので、話は聞いてくれますね。売りつけるわけではないですし、広告案件ではないので。

――ある記事で、起業3年で5,000スペース、売上8億円が目標とおっしゃっていましたが、それを実現するための今後の戦略を教えていただけますか?

現在は上方修正していて、年内に1万スペースまで増やそうと思っています。まずは、スペースを押さえきることが目標です。とはいえ、ただスペースを掲載するだけでは、どのように使っていいかわかりにくいスペースもあります。たとえば、お寺など。そこで、スペースの魅力や利用事例を発信するオウンドメディアをスタートしました。お寺は今では受注も多く、商売繁盛祈願と懇親会や、マグロの解体ショーなど日本的なイベントも行っています。このように、スペースの特徴とリンクするイベントも提示していきたいです。

――今後は、イベント企画も強化していきたいと考えていらっしゃるのでしょうか?

そうですね。自社のイベント企画力を強化するとともに、社外のイベント会社とのアライアンスを強化して、施行など専門的なことは彼らにお任せしようと考えています。

――現在の顧客は国内に限られていると思いますが、今後はグローバル展開も考えていらっしゃいますか?

海外の顧客もとっていきたいですね。英語対応をして、アジアの企業がインバウンドで何かをしたいというときに、我々のサイトから探してもらえるように。また、こちらからもアジアに進出したいです。シンガポールや香港ではビジネスイベントがたくさんあるので、それらのクライアントも押さえていきたいなと思っています。

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――重松さんは世の中をおもしろくするのがモットーだそうですが、今おもしろいなと気になっているもの、コトがあれば教えてください。

やはりシェアリングエコノミーがおもしろいですね。あらゆるものがシェアされる世の中になっていくと思うので、次は何が出てくるか楽しみです。うちの奥さんが今メルカリにハマっているのですが、価格さえ合えばすぐに売れるらしいんです。上手くいけば1年着た服を売って、別の服を買って差し引きゼロ、むしろ儲かるみたいな。究極全部貸し借りになるのではないかとも思います。キャンピングカーや別荘を何人かでシェアしたり、オフィスのシェアも出てくると思います。1カ月単位で動く人も出てくるでしょう。ネットワークさえあれば、どこでも仕事ができますから。

――New Commerce Hubでは、広い意味でのEコマースを取り上げています。御社のサービスも新しい「買いかた」を示していると思いますが、今後「買い物」や「買いかた」はどのように変わっていくと思いますか?

僕自身もネット通販が好きで、スーパーで買う物以外はほとんどネットで買っています。今後あらゆる買い物がネット通販に移行していくのではと考えていて、そこでは買い物体験の楽しさ、買いやすさ、触れ合いが求められていくと思います。我々の事業でも、お客様に人気のスペースはオーナーの対応がめちゃくちゃいいんです。商品そのものだけでなく、売り方やコミュニケーションの取り方が大事だと思います。ECはただ売って買うということにとどまらず、いかにファンになってもらうかですよね。

――ありがとうございました。

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