モノではなく体験を贈る「体験ギフト」事業を展開するソウ・エクスペリエンス株式会社の西村琢社長へのインタビュー。後編では、ソウ・エクスペリエンスのECサイトの運営状況や、提携店舗や新商品の開拓方法など、運用面を中心に語っていただきました。また、"エクスペリエンス=体験"を軸に、ギフトという枠にとらわれない新事業の展開など、今後の方向性についても伺いました。

前編を読む

――最初はECサイトのみでしたが、リアルショップでも展開するようになったのは、いつ頃からですか?


西村:創設4年目ぐらいの2008年か2009年ですね。それまではECサイトと法人取引が主でした。車の成約記念のキャンペーンで「新しく買った車でどこかへ出かけましょう」とか、スポーツ飲料のキャンペーンで「飲む前に汗をかきましょう」とか、キャンペーンのインセンティブとして採用されることが多かったですね。現在は、ECサイト、リアルショップ、法人取引の割合がほぼ同じです。



――「体験ギフト」に関して、御社ならではのこだわりがあれば、教えてください

西村:パッケージに非常にこだわっています。写真はすべて撮り下ろしで、お金と手間をかなりかけています。その結果かもしれませんが、当社のカタログは一対一のプレゼントとして贈られるケースが多いです。一般的にカタログギフトは引き出物や香典返しで活用されることが多いので、業界的には稀なことです。一対一の贈り物に選んでもらえるサプライズやワクワク感をパッケージでも表現できていると自負していますし、期待感に応えられるデザインにしなければと思っています。

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写真、キャッチコピー、素材などあらゆることにこだわって作っている

――総合版、カップル向け、出産祝いなど、さまざまな用途に合わせたラインナップをご用意されていますが、とくに人気のある用途は何でしょうか?



西村:誕生日プレゼントと結婚祝いとして購入される方が多いですね。カップル向けにデート体験を贈ることができる『For2』が、結婚祝いとしてよく売れています。あとは退職・転職祝いも人気です。

――価格帯はどのあたりが一番売れていますか?

西村: 2,870円の『カフェチケット』がよく売れていますね。ふたりで利用できるカフェが多数掲載されています。

――購入者の年代は?

西村:ECサイトでは30代を中心に、20代~40代前半の方が購入されています。リアルショップではカタログを置いているショップの客層に左右されるので、雑貨店では若い方が、百貨店では年配の方が利用されているのではと推測しています。

――リピーターの割合は?

西村:1年間に購入した人の中で、約20%の方がリピート購入をしています。同じものを2度贈りたいという方は少ないので、一般的にカタログギフトはリピートされにくいです。

――現在の運営体制を教えてください。


西村:スタッフは約20名です。提携店舗を開拓する営業スタッフが3名、小売店や法人案件など、対会社の営業スタッフが4~5名、ECサイトの運営スタッフが2~3人です。そのほかに、梱包や発送などのバックオフィス業務を担当するスタッフがいます。

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約20名のスタッフが在籍しているオフィス

――提携店舗の開拓はどのように行なっていますか?

西村:実務的な交渉をする営業スタッフはいますが、新しい体験プランを見つけてくるのはスタッフ全員です。社内で使っているSNSツールに、「とっておき体験スレッド」を設けて、どこかでおもしろい体験を見つけてきたら誰でも書き込めるようにしています。それを読んだ別のスタッフが実際に体験しにいって、「おもしろいから採用しよう」となることも多いですね。

――商品に採用する際のポイントを教えてください。

西村:自分たちが体験して楽しいと思ったものということが、唯一にして最大のポイントだと思います。あとは、提携店舗の事業の継続性ですね。未来のことなのでわからないですけれど、今までの実例をもとに2、3年後も事業を継続できるかをチェックします。

――カタログ内容のリニューアルの頻度や、新サービスの公開頻度の目標などを設けていますか?

西村:多ければいいというものでもないのでとくに設けてはいません。質のいい商品が厳選されていることのほうが大事だと考えています。

目指すのはエクスペリエンスの総合商社

――御社は今までもさまざまな事業へ投資や参加をされていますが、今後新たな事業の展開を考えていますか?

西村:僕たちは、「ギフト」よりも「体験」のほうに重きがある、エクスペリエンスの会社だと思っています。これまでも、クレジットカードのポイント利用コンテンツへ体験プランを提供したり、自治体の集客に体験プランを活用していただいたり、さまざまなところに「体験」のニーズがあると実感しました。ですから、特定のビジネスモデルにとらわれず「体験」の会社であるという最低限の部分をクリアしていれば、柔軟に動けるエクスペリエンスの総合商社を目指したいです。今後の展開としては、体験をしたい方が自分で予約できるアクティビティ予約サイトを準備しています。ただお金を払って体験をしてくださいということではなく、「人を誘いたくなる」ことをテーマにした体験予約サイトを目指しています。誰かに誘われて体験し新しい世界が広がる、"きっかけのサイエンス"を提供できればと考えています。

――最後の質問です。西村さんにとって「買い物」とは何ですか? また、新しい時代の買い方とは何だと思いますか?

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西村:何かを買うときは覚悟をもって買いたいと思っているので、買い物はあまりしません。新しい時代の買い方としては、モノを買った時点で売っているような状態になったら一番いいんじゃないかなと思っています。売ろうという意思をもった時に売るのではなくて、欲しいという人が現れたら、その時の気分や値段次第で売ってもいいし、売らなくてもいい。一応所有はしているけど、感覚的にはシェアに近い。物流が発達したこと、容易に決済ができるようになったことでモノを売ることへのハードルが昔よりはるかに下がっていますから、将来的にはそんな時代が来るかもしれませんね。

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