「無印良品」のリアル店舗とネット通販を連携したオムニチャネル化にいち早く取組み、その成功企業として注目を集める良品計画。良品計画WEB事業部の川名 常海氏へのインタビュー後編では、購買のほか、チェックインや商品レビューを書くことで、MUJIマイル(一定のマイルが貯まるとショッピングポイントに変換が可能)を貯めることができるMUJIパスポート開発のきっかけや反響について話を伺いました。

無印良品らしい体験を、MUJIパスポートがどれだけ増幅させられるかが重要

――MUJIパスポート開発のきっかけをお伺いしたいです。

最初にO2Oを始めた頃は、先ほども申し上げたように、携帯電話でクーポン画面を表示していただくだけだったので、お客様の詳しい購買行動を計測することができませんでした。そこで、デジタルの会員証を作ることで、お客様の購買行動を可視化できるのではないかと考えたことがきっかけで、MUJIパスポートを開発しました。

――MUJIパスポートは、購買やそのほかにもさまざまな参加をすることで、MUJIマイルを貯めることができますね。その反響や、実際にどのように使われているかを教えてください。

店頭ではかなりのお客様に提示していただいています。現在は10人中、2人は提示されていますね。それと、MUJIパスポートにはチェックインという機能があって、店舗から600メートルの範囲内でチェックインするとMUJIマイルが貯まるようになっています。調べると、チェックインしたお客様の5%が実際に購入しているのですが、実際に購入しなくともチェックインすることで無印良品との接触時間が増えているので、よい効果が出ていると思います。また、「くらしの良品研究所」というコミュニティサイトの商品開発に参加したり、商品のレビューを書くことでもMUJIマイルが貯まります。

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――もともと、御社ではポイントカードは発行していませんでしたよね。

そうですね。ですから、ただのポイントユーザーとしての重みを測っているというよりは、お客様の「無印良品度」をMUJIマイルという定規で測っているという感じです。チェックインや商品レビューなども、大きな意味で無印良品の活動への参加ですし、購入した後にこの商品がもっとこうだったらいいとか、あるいはこんな新商品はないのかという意見を出していただくことは、弊社の商品部が日々行っていることと同じです。

また、不要になった衣料品(自社製品)を回収しリサイクルする「 FUKU-FUKUプロジェクト」に参加していますが、回収品には、まだまだ着られる衣料品が多くあるため、、「ReMUJI」として回収した衣料品を染め直して新しいプロダクトとして販売もしています。大変人気ですぐに完売してしまうので、より多く集めるためにMUJIパスポートと連携して、店頭に不要な衣料品を持ち込んでいただいた方にMUJIマイルを付与するよう有楽町店で先行して取り組みを始めました。金銭的なメリットを与えるということではなく、無印良品らしい活動、無印良品の推奨するリサイクル活動に参加してくれたことへのMUJIマイル付与です。ですから、購買のシェアリングだけでなく、その思想が大きいと思います。

――海外での戦略を伺いたいのですが、現在はドイツと中国でEC展開をされていますね。国によって戦略は変えていますか?

大きな戦略というところでは変えていません。どの国でも、お客様が店舗とネットの双方に接点があり、上手に使い分けて買い物していただける状態を作るのが無印良品の勝ちパターンだと捉えています。ですから、日本でやってきたことを各国にどのように展開するかだと思います。

――中国は、MUJIパスポートもリリースされましたね。

今年の5月にリリースして、現時点の利用者が70万人ぐらいです。店頭での提示率も、先ほど日本では約20%と言いましたが、中国でも8%ぐらいになってきています。日本と同じペースで伸びてきているので、着実に浸透し始めていると思います。

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――全体的なデジタル施策として、今後より注力したい点を教えてください。

MUJIパスポートは「新しいお買い物体験を」というコンセプトでリリースしたので、今後MUJIパスポートがあることで店舗体験がどのように変わっていくかを突き詰めたいです。また、MUJIパスポートのユーザーは無印良品を好きなお客様なので、無印良品らしい体験を、MUJIパスポートがどれだけ増幅させられるかが重要だと考えています。例えば、エコをテーマにした活動であればFUKU-FUKUプロジェクトしかり、今後のアイデアとしては、例えばレジでレシートやショッピングバッグを不要といっていただければ、MUJIマイルが貯まるなどもいいかもしれないですね。

――New Commerce Hubでは、広い意味でのEコマースを取り上げています。新しい時代に向けて、買い方や買い物はどのように変わっていくと思いますが?

いろんな視点がありますが、1つには価格の安さやスペックの高さだけでは買わなくなっていくと思います。お客様はEコマースにしてもリアル店舗にしても、そのブランドの意思に共感し、そのブランドならではの体験を求めているので。フカヒレスープの事例も、おいしいから安いからという理由ではなく、無印良品を応援するために買っていただきました。ですから、お店としてはブランド体験をいかにお客様に提供できるのかを常に考えていく必要があると思います。

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