スマートフォンを用いて、安心、安全、簡単に個人同士で取引を楽しめるフリマアプリ「メルカリ」。日本での爆発的なヒットに続いて2014年の9月にはアメリカでもサービスをローンチし、現在ではすでにダウンロード数100万件を突破と、順調に躍進を遂げています。株式会社メルカリ取締役の小泉文明氏へのインタビュー後編では、海外展開への展望や、サイト作りに関する今後の方針について話を伺いました。

――大量に出品されている中で、おもしろかったものや印象に残っているものはありますか?

mercari05.jpg

検索すると思いがけない商品に出会えることも

検索すると、なんでも出てきますよ。たとえばこけしとか、めちゃくちゃ多かったですね(笑)。こういうロングテールでものがたくさんある楽しさや、いろいろなニーズがマッチングされているのが、メルカリのおもしろさだと思っています。

――こけしなどは外国人から見るとおもしろそうですし、逆に外国のものが手軽に買えると、日本人には価値がありますよね。今後の海外展開において、国をまたいだ売買なども考えていらっしゃいますか?

アメリカでも2014年の9月にサービスをローンチしまして、今は100万ダウンロードを突破したくらいです。徐々にユーザーさんが増えてきている状況で、商品もアパレルなど日本と近しいものが流通し始めている印象はあります。ただ、国を越えるとなるとやはり物流の手間やコストの高さがネックになるので、そのあたりをちゃんとクリアに、もしくは価格を安くできるような未来観があれば、そこはぜひやっていきたいと思っています。

「フリマアプリ」という言葉より「C2C」

――今後、実体のある物以外の売買は考えていらっしゃいますか?

僕は「メルカリ」そのものを、フリマアプリの「メルカリ」だけをやる会社だとは思っていないのですが、新規事業の1つの選択肢としてはあると思います。"フリマアプリ"という言葉は、マーケティング上ではとても大事にしていますが、イメージとしてはどちらかというと"C2C"という言葉を使っていきたいんです。コンシューマーとコンシューマーが、いろいろなものを流通させていく世界を作っていきたいので。

――C2Cの考え方で言うと、欧米を中心に広がりつつある"シェアリングエコノミー"の概念は日本ではあまり普及しないという予想もありますが、コンシューマー間の流通についてはどうお考えでしょうか?

シェアリングエコノミーは日本でも普及していくと思いますけど、モノ同士が一番立ち上がりが早いとは思います。物々交換は人類の原始的な部分なので、そこから入って、徐々にモノ以外のサービスなどのシェアへ進んでいく気がします。やはり入口としてはモノとモノのやりとりがベースになるのかなと。

――となると、C2Cのモノの売買は新興国でも根づくコンセプトなのでしょうか?

「安くていいものが欲しい」という人はたくさんいるので、新興国でも全然問題ないと思っていますよ。ただし、今は物流や決済の面でまだまだ社会インフラが追いついていないですし、「新品が欲しい」という人も大勢いる状況かなと。もしくは、社会的な信用ですね。日本人だと比較的「使用回数が少なくてきれいです」という表示の信用が成り立っていますが、新興国はまだその信用が社会として築けていない可能性があります。根づくのが遅れる要因としては、そのカルチャー的な側面がけっこう大きいかもしれませんね。変なトラブルが起きないのは日本の強みでもあると思っています。出品者が愛を持って商品を届けてくれる。メルカリのユーザーさんでも、届いた商品と一緒に手紙やメッセージカードが入っていたりだとか、よくあるようですよ。

――売れたものが低価格帯でも手紙をつけてくれるなどの行為には、どういうモチベーションがあるのでしょう?

承認欲求だと思います。自分が愛したけどいらなくなってしまったものを「欲しい」と認めてくれる人がいた、その承認欲求ではないでしょうか。

――「メルカリ」はこれまでのイーコマースサイトと比べて、売買のエクスペリエンスを新しいものに変えつつありますね。「メルカリ」的には、今後の"売買"そのものはどうなっていくと思いますか?

mercari06.jpg1,000万ダウンロードを突破し今後のさらなる発展が期待される
(インフォグラフィック「数字で見るメルカリ」)


難しい質問ですね(笑)。「メルカリ」の運営においては、在庫がないこともあって、実はあまりコマースという意識はありません。モノの売買そのものより、モノが流通している中でのコミュニケーションが楽しくて人が訪れてきてくれる、コミュニティという感じなんです。

スマートフォンはもともと電話ですから、コミュニケーションデバイスですが、PCはどちらかというと作業デバイスですよね。だから今後は、コミュニケーションデバイスでのモノの買い方として、作業デバイスでの買い方よりもっとインタラクティブで楽しい、新たなエクスペリエンスを提供できる気はしています。

新しい時代の買い物とは

――最後の質問です。新しい時代の買い物、新しい時代の買い方とはどのようなものとお考えですか?

mercari07.jpg

自分にとって価値があるものには大金を払うし、価値がないものには一切払わない。その商品の裏側にあるストーリーに共感し売買全体のエクスペリエンスを買う時代が来ているように感じます。実際に僕が最近お金を使うのも、モノじゃなくて旅行などが多いですし、モノを買うときも「この素材がいい」とか「この作りがいい」など、自分的な納得感を探します。

そんなふうに、商品に対して自分なりの納得感を求める時代になっていくと思うので、「需要が先にあって、そこに商品を当てる」という形が広がっていく時代になっていくのではないかと考えていますね。そして、その購買体験がソーシャルで拡散していき、大きな消費につながっていったら面白いと思っています。

――ありがとうございました。

前編を読む

メルカリ 

この記事やECサイトのコンサルに関するお問い合わせは
Info*dentsu-ec.jp まで

※「*」を「@」に変えてください。