スマートフォンで写真を撮ってすぐに出品ができ、売れた商品のうち約20%は1時間以内に取引が成立しているという、手軽さとスピードが魅力のフリマアプリ「メルカリ」。2013年にサービスをローンチし、約1年半でダウンロード数1,100万件を超え、現在では出品数は1日に数十万品、流通総額は月間数十億円に達しています。その成長の秘訣について、株式会社メルカリ取締役の小泉文明氏に話を伺いました。

「気軽に出品」をなにより大切に

――「メルカリ」の立ち上げの経緯を教えてください。数あるフリマアプリの中で、どのような特徴を打ち出していこうと考えたのですか?

創立が2013年の2月で、サービスのローンチ自体は2013年の7月ですね。準備期間を4~5ヵ月間とってからローンチしています。当初からC2Cのフリマアプリを提供していまして、僕たち自身はスマートフォンに特化していることが特徴だと思っています。Web版も一応あるのですが、商品の閲覧が可能なだけで、出品、購入はアプリで行っていただきます。基本的には、すべての人たちに使っていただきたい、もしくはすべての人たちに"出品者"になっていただきたい。もちろんコマースでいう"購入者"も大事ですが、「気軽に出品できる」ことをなにより重要視しています。

――「出品できる」という点で、既存のオークションサイトとの違いはどこにあるのでしょうか?

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手軽さが魅力

今までのオークションサイトのようなC2Cサービスであれば、デジカメで撮った写真をきれいに加工して、商品情報を詳細にアップして......と、少し手間がかかるため、どちらかというとインターネットリテラシーが高い人しか扱えなかったと思います。それにそのようなサイトをよく見てみると、出品者は業者さんが多い。ピュアなC2Cというよりは、中小企業の方と個人が流通している感じで、これではほぼB2Cと変わらないですよね。それに対して僕たちは、スマートフォンで気軽に出品できるところを大事にしているので、その手軽さが一番の違いでしょう。

――では、競合のフリマアプリと意識的に差別化を図っているところも、手軽さという点?

手軽さは各社が意識していると思いますので、スタート時の違いとしては、僕たちはオールジャンルでやっていたところが一番の違いじゃないでしょうか。僕たちがC2Cで目指す領域としては、誰でも使えるオールジャンルなものを作りたい。迷ったときは「メルカリにいけば何かあるんじゃないか」「メルカリだったらこの商品も売れるんじゃないか」と思ってもらえるメジャー感ですね。運営側が「このカテゴリを売りたい」というより、「もっとプラットフォームっぽくしたい」と考えているところが他社との最大の違いだと思います。

商品の多様性で売り買いの体験を楽しむ

――フリマアプリに限らず、一般的なEコマースサイトと比べても、商品の多様性は特徴的ですね。

「メルカリ」はドン・キホーテさんっぽいところがあるかもしれません。メルカリのユーザーさんの買い方の特徴として、多くの方々は何かが欲しいからアクセスしているわけではないのです。ドン・キホーテさんの場合も、店に入るまで欲しいものがなかったとしても、「あそこは安いものがあるだろう」とか「掘り出し物があるんじゃないか」とうっすら思いながら行って、見事に何かを買って出てきますよね。「メルカリ」もその状態に近いです。だからユーザーさんたちも「稼ぎたい」とか「いいものが欲しい」というより、売り買いの体験を楽しんでいるのではと思います。

――「メルカリ」内にある、梱包の仕方や配送料の一覧がとてもわかりやすくて便利ですが、そういったアイデアは社内ミーティングなどで出てくるのですか?

そうですね。社内は大きく2つに分かれていて、1つはプロダクトをプランニングする職種の人たち。いわゆるプロデューサーですね。そしてもう1つはカスタマーサポート。ここに社員の約6割というかなりの人数を割いています。そのカスタマーサポートからの改善提案が日々出てきている状況なので、そこからインパクトの大きいものを選んで、ユーザーさんの声を反映しています。

ユーザーさんを引っ張っていくプロデューサーのアイデアと、ユーザーの声を聞くカスタマーサポートの改善提案の両面でうまくバランスをとってプロダクトを作っているんです。

――1,100万ダウンロードもされると、商品を出してくれるユーザーさんが枯渇してしまう恐れもありそうですが、出品してくれる方を増やすためにはどんな工夫をされていますか?

出品者を増やすには、つまるところ手段は2つあると思っています。1つは商品のアップのしやすさであるとか、配送まで含めたシステムをどこまで手軽にできるかというところ。もう1つは「売れるか売れないか」ですね。結局「売れる」という成功体験があれば次につながるので。1つ目の手軽さについての工夫は、リアルを巻き込んだところまでちゃんとUXを整えていくことです。2つ目の成功体験に関しても、検索など商品を見つけやすくするなどの開発はしていきたいと思います。オールジャンルでやっているので難易度が高いところもありますが、そこはベンチャーながら一生懸命に仕組みを作っています。社長の山田も僕も2回目の経営なので、うまく経験を生かしているというのはあると思います。

――小泉さんが「メルカリ」に参画することになったいきさつを教えてください。

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僕はもともとミクシィのCFO(最高財務責任者)だったのですが、ミクシィのコミュニティ内でけっこう物々交換をしているケースが多かったんです。当時はSNSがオープン化していく中で、ゲーム会社がゲームをSNSに合わせていきましたけど、僕は将来的にはモノの売買も、SNSをうまく使ってどこかの会社がやってくれたらいいなと思っていました。人がつながっていく中で、いずれはモノの売買ももっとフレキシブルにできるようになる世界が出てくるだろうと考えてはいたので、社長の山田から「メルカリ」の話があったときに、これは誰にでも使えるし、こういうプラットフォームがあればおもしろいなと思いました。僕も家にいらないものがいっぱいあったりもするので、そういう自分の生活の中での課題感ともマッチしていて、スマホでのフリマアプリは非常に多くの人にウケるのではないかと、ピンときましたね。

後編では海外展開への展望や、サイト作りに関する今後の方針について話を伺います。


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