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様々な競合サービスが生まれ競争の激しいファッションアプリの中で、好調に成長を続けている「iQON」。提携するECサイトのファッションアイテムの画像を組み合わせて、オリジナルのコーディネートを作成できるアプリです。今回は、当サービスを運営する株式会社VASILYコンサルタント・横山隆氏に、「iQON」のサービス概要やユーザー動向などについてお話を伺いました。

――最近は競合するファッションアプリが増えてきていますが、「iQON」はどのような差別化を図っていますか?

差別化の1つとして挙げられるのは、技術力です。例えば「この写真は人物の写真なのか、マネキンの画像なのか」「この服は何のカテゴリなのか」ということを自動で解析する場合、テキストデータでも画像データでもとても難しい。でも、うちはエンジニアが多い会社なので、彼らがプログラムのロジックを考え、「100万点の画像の中からスカートを抽出する」という人力だけで行うには途方もない作業をプログラムの力で自動化し解決できているというのが、他社との差別化のポイントだと考えています。

――技術面について、会社として意識的に力を入れているということでしょうか。

そうですね。強みの1つである技術力をさらに高めるため、優秀な技術者や、おもしろいプログラムを書ける人間が入ってくるように、採用活動をしっかり行っています。また、勉強会で「VASILYの技術者はこういうイケてることをやっているんだよ」という外に向けた情報発信をしています。これは社員を外から見たときに、「単なるファッション好きではなく、技術面もゴリゴリにやっている人たち」という事実を伝える工夫です。

――ではデザイン面において、「iQON」が大事にしていることはどんなことですか?

必ず「ユーザーさんのどんな課題を解決できるのか?」「便利な体験を提供できるのか?」を考えたうえで、しっかり数字を見てデザイン改善をすることですね。

――では、ここからはユーザー特性や動向について伺えればと思います。まず、「iQON」ユーザーの年齢層の平均は? 若い女性がメインというイメージがありますが。

やはり一番多いのは18~34歳のセグメントで、全ユーザーさんの約82%です。日本女性の中で、「ファッションが好き・興味や関心がある」という人口が600万人ほど。「iQON」のユーザーさんは200万人以上なので、ファッション好きな女性の3分の1以上に「iQON」を利用してもらえているイメージですね。

また興味深いデータとして、「iQONユーザーさんの63%がファッション誌を読んでいない」というものがあります。大前提として、90%以上のユーザーさんが「洋服に興味がある」と答えているのに、ファッション誌は読んでいない。つまり、世の中の女性が「洋服が欲しいな」と思ったときに、昔は店舗に行くか、雑誌を読むか、テレビでタレントさんが着ている服を見るか...くらいしか行動の選択肢がなかったと思いますが、今の若い女性はスマホで情報を見て、「この服かわいいな」と思ってそのままスマホで買う...というダイレクトな動きができつつあるのがおもしろいと思います。

――それでは、デバイスごとにユーザーの滞在時間や訪問頻度なども大きく違うのでしょうか。

滞在時間は断トツでスマホのほうが長いですね。やはりアプリは、じっくり見てくれる人が多いみたいです。中でもヘビーユーザーさんは本当にすごく、1ヵ月30日間のうち20日以上は「iQON」を触っています。

一般的なECサイトだと、月間のリピート訪問頻度はせいぜい2~3回。ブランドのエッジが立っていて、ファンと呼べるレベルのユーザーさんがついているサイトでも、ひと月に10回も来ないでしょう。でも、「iQON」ユーザーさんは平均で毎月10回以上アプリを触りに来ているのがおもしろいですね。

僕は、"現在"のECサイトは「物を買いたいときに初めて立ち寄る自動販売機みたいなもの」だと思っていますが、「iQON」は自動販売機よりは雑誌のイメージに近い。「はっきりとした目的はないけど、「iQON」を見れば何かおもしろそうな情報があるかも」という感覚で気軽に利用してもらえるアプリなので、一般的なECサイトよりリピート訪問頻度が高いのだと考えています。

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――訪問頻度など以外に、「iQON」ユーザーの使い方や買い方に特徴はありますか?

うちは"コーディネート"という切り口で洋服を見せているため、ブランドでカテゴリー分けする考え方はほとんどない状態でアイテムが混ぜられています。そのため、「雰囲気さえ気に入れば買う」という動きが起きやすく、目的買いではない買い方が多いですね。百貨店などもそうだと思いますが、あまりブランドを意識せずに買っている傾向が結構あるようです。ブランドの直営サイトだと、そのブランドが大好きで買い物に行くという傾向が強いでしょうが、「iQON」はそういう人より、「1万5,000円くらいのワンピースが欲しい」といった買い方をする人が多いと思います。

――極論だと、どこのブランドか知らずに買っているユーザーもいるかもしれない...ということですね。

そうですね。クリック、PVの比率を見ても、各ブランドページより、「ワンピース」「ショートパンツ」などのカテゴリページのほうが圧倒的に多いです。何かしらのアイテムカテゴリで目的買いはしていますが、ブランドを主目的として来ていないというのが特徴です。

なので「iQON」を触っているうちに「○○ってブランドがあるんだ。いいな」と知って、"LIKE"機能を使う人もいます。LIKEした場合、そのブランドに新商品が入ってくるとスマホにプッシュ通知が来るようになっていて、それがきっかけでブランドの商品を買うようになる。プッシュ通知の開封率や、そこからのクリックのレートが非常によかったりするので、そのような買い方をしている人が多いのではないかと考えています。

――では、カテゴリページとコーディネートページだと、どちらのPVが多いですか?

UIが関係するとは思いますが、やはりコーディネートページのほうが多いですね。アプリを開くと、最初にコーディネートがバーッとタイムラインに出てくるので。コーディネートが中心のサービスだという認識を持ってみんな触っているのかなと思います。

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――コーディネートを作るユーザーのモチベーションとしては、どういうものがあると思いますか?

「Facebook」や「Instagram」を利用する時と同じだと思います。自分のライフログの意味合いもあると思いますが、自己承認欲求がインセンティブになって投稿につながっていると思います。

「iQON」も、たまにコンテストの優秀者にプレゼントをあげたりすることもありますが、基本的にはコーデの投稿者に何もプレゼントしていません。だから、プレゼントがフックになってコーデを作っているわけではなくて、作ったコーデに対してLIKEがつくことがモチベーションになることが多いと思います。

他には、スタッフのピックアップコーデというものがあって、ヘビーユーザーさんから「そこにはどうしたら載れるんですか?」と質問を頂いた事があります。自分が一度ピックアップされたのに、それがマイページに反映されないということを問い合わせてくださるユーザーさんもいるので、「表彰されること」がとても重要なモチベーションになっています。

あとはコメント。これもSNS的要素ですね。コメントの通知がちゃんと来るかどうかをヘビーユーザーさんはすごく気にしていて、以前あった話ですが、「○○さんからのコメントを5分以内に返したかったのに、使い方が変わってわからなくなってしまったので何とかしてください!」という意見が届くくらい、ユーザー同士で活発にコミュニケーションする傾向があります。

――今まで行ったコーディネートコンテストや企画で、ユーザーの反響が印象的だったものはありますか?

個人的に印象的だった、反応もあったなと思うコンテストですと、あるコスメメーカーさんとのコラボで行ったコンテストです。化粧品のデザインテンプレートを、「iQON」のコーディネートのフレームとして用意し、それをベースにコーデを作るものです。

その参加賞として、「iQON」で作ったコーデを店頭で見せると、化粧品のサンプルがもらえる企画でした。数字ベースで考えていくと、例えばコンテストを見た人が何万人、参加した人が何千人、コーデを最後まで作りきった人が何百人、その中で実店舗に行く人が何十人...と、厳しいファネル構造になっていたはずなので、ほとんど店舗までは行かないだろうと思っていました。でも蓋をあけてみると、コーデを作った人が店に行く割合がとてもよかった。全部配るのは無理だろうと思って用意したサンプルが、1週間でなくなったという話を聞いたときは、「iQON」でO2Oもできると感じました。

この経験から、ブランド認知を拡大させるのに、従来のマスメディアの活用以外にも、webからブランディングをしていくことも不可能ではないと思ったんです。基本的にwebはユーザーの受け皿として、刈り取り側に回ることが多いメディアですが、使い方次第ではブランドを成長させる可能性もあると思います。

後編では、VASILYの魅力や「iQON」の将来の展望などについてお聞きします。

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