2009年に日本に上陸した、アメリカ発の会員制ファッションセールサイト「GILT」。有名ブランドの商品を最大70%オフで購入できるというお得感と、今までのセール・サイトにはない高級感のあるサイト作りが人気を呼び、急成長を遂げています。GILT日本法人のギルト・グループ株式会社、代表取締役CEOのジョアンナ・ドゥービン氏へのインタビュー後編では、PR戦略や商品の拡充、サイト作りに関する今後の方針について話を伺いました。

展開広告ではなく、口コミでユーザーを増やす

――広告をあまり見たことがないのですが、認知度はかなり高いように思います。PR戦略に力を入れていたのでしょうか?

認知度を上げる戦略は、約半年前から始めていて、今年から本格的にやっていこうと考えています。過去6か月間で4、5社の雑誌でのプロモーションを行いましたが、今年はさらに増やし、イベントとのタイアップも考えています。

――日本版のリリース当初は、商品の充実や、ロイヤリティの高い核となるコア・カスタマーの増強に注力されてきたのでしょうか?

「GILT」はシークレット・サイトとしてスタートし、お客様にごく親しい方に紹介していただく方法でユーザーを増やしました。ですが、お客様は自分の買いたい商品があり、その在庫には限りがあるので、多くの人に教えたくはないと思うのです。ですから、シークレット・サイトとPRは両立しないと当初は考えていました。しかし、今では200万人の会員登録があり、今後さらに増やしていくには、詳細を見せないシークレット・セールではありながらも、少しずつメディアに露出していこうと考えています。

――多くのECサイトが集客に困っているなか、御社のようによいサービスを提供し、しかもシークレットとするのは面白い方法だと思います。リアルショップであれば表参道などに店舗を構えれば注目を集められますが、WEB上で集客するのは非常に難しいので。

実は、2013年11月に表参道にポップアップショップを出店し、私たちがどのようなブランドの商品を販売しているかをプレゼンするイベントを行いました。やはりオンラインだけでは通じないものもあるので、リアルに見ていただくことがポイントでした。

――どういう反応がありましたか?

この時パーティーを開催してお客様や会員様を招いたのですが、イベント会社にお願いせず、すべて社内で計画しました。そのため、アットホームな形でパーティーを催すことができ、お客様を身近に感じることができました。ほかにも、ワインのテイスティングイベントを実施した時は、東京の素晴らしいレストランで、Uberとコラボレートしました。このような特別感のある専門的な催しは、今後も企画できればと考えています。

――「GILT」はファッションアイテムの販売が中心ですが、最近はエステサロンやレストランなどもラインナップされています。今後はジャンルを拡大してく方針なのか、それともファッションやラグジュアリーという切り口で、ジャンル不問でさまざまな商品を展開していく方針なのかを教えてください。

私たちは「GILT」をライフスタイルブランドと考えています。ウィメンズの洋服やアクセサリーが主流ですが、メンズ、ホーム、キッズ、シティ(GILTCITY「ギルト・シティ」)にも注力していて、現在は収益の約半分をこの4つのカテゴリーで占めています。なかでも「GILTCITY」は、他のストア(ウィメンズ、メンズ、ホーム、キッズ)と違い、ディスカウントという形ではありませんが、ここにしかないラグジュアリーな体験を特別価格で提供しています。

gilt05.jpgGILTCITY

――今までのECサイトは、お客様が欲しいものを検索して探すのが基本でしたが、「GILT」は、お客様が新しい商品との出会いがありそうという期待を持って訪れて、物欲をかき立てられているように思います。そのための商品のクオリティはどのように担保しているのですか?

そこはお話しするのは難しいのですが(笑)、さまざまなことのコンビネーションだと思います。ひとつにはイメージビューがあります。お客様が買い物をしやすいサイト作り、プロダクトと私たちは呼んでいますが、その改善向上に努めています。たとえばボタンの位置など、お客様がどこを触ると素晴らしい買い物ができるかなど、サイエンスの部分も強化しています。

――御社のように、特別な商品や体験を特別なプライスで提供するというサイトは今後増えていく、市場として活性化していくとお考えですか? それとも御社がオンリーワンとして市場を独占していくと想定していますか?

面白い質問ですね(笑)。ウィメンズやメンズの商品は弊社も扱っていますが、競合他社にも素晴らしい商品を扱っているところがあります。市場の規模はどんどん大きくなっていくと思うので、私たちがそこでオンリーワンになるとは考えていません。お客様にベストなものを提供できるベストな会社になりたいというのが一番の思いです。

時代はモバイル・ファーストへ

――最後の質問です。新しい時代の買い物、新しい時代の買い方とはどのようなものとお考えですか?

とても興味深い質問ですね。なぜなら、私も常に自分に問いかけているからです。日本に来てから約4年半経ち、東京に滞在しながらずっとお客様の動向を見ています。弊社は素晴らしいブランドと独占契約を結んで、ほかにない体験を提供するようになりましたが、その過程でPCとモバイルの比率が大きく変わったのがポイントだと考えています。今はPCとモバイルが50:50ですが、いずれ30:70ぐらいになるのではないでしょうか。誰もがどこへ行くにもモバイルを持っています。モバイルは人々の体の一部になったと思うのです。

お客様の行動が変わると買い物の仕方も変わるので、つまりモバイルでの買い物もどんどんユーザーフレンドリーになる必要があり、私たちもモバイル・ファーストへと切り替えました。それによって、撮影などあらゆる面においてモバイルの環境を考えて行動するようになり、モバイルの後にPCという方針に変わってきました。また、今後の2年を見据えたときに、iPhone6が先代モデルよりもかなり大きくなりフラットなデザインになったように、また何か変化が起きていると思います。そして、モバイルの新しい端末が出るたびに、お客様はより簡易に商品を買えるようになるでしょう。ですから、Eコマースはモバイルに特化して考えていかなければならず、そこが新しいショッピングの仕方、ショッピングの新しい時代になるのではないかと思っています。

――ありがとうございました。

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