日本最大のレシピ投稿サイトを運営する「クックパッド」が手掛ける、野菜をはじめとした旬の食材の定期宅配サービス「クックパッド産地直送便」。お客様が生産者を選んで購入し生産者が直接発送する仕組みで、「全国各地の農産物が新鮮な状態で届く」「生産者の顔が見えるから安心」など好評を博している。そのサービスの全容について、クックパッド産地直送便株式会社 西崎努氏に話を伺いました。

スタッフ自ら生産現場を取材し、見て食べて生産者様と話して出店を検討

――「産地直送便」を立ち上げた経緯を教えてください。

当社が食材の販売サービスを立ち上げたのは2012年7月です。生産者様が厳選した野菜を家庭用に整えて定期宅配するという「やさい便」というサービスを始めました。2014年8月にスマートフォンサイトを新設したことを機に、お肉など野菜以外の食材も取り扱うことになり、「産地直送便」と名前をリニューアルしました。

――野菜以外の食材を取り扱うということに加えて、リニューアルをした点を教えてください。

「やさい便」は、八百屋さんなど販売業者ともお取引がありましたが、「産地直送便」では生産者様に限定してお取引させていただいています。生産者様によりフォーカスを当てて、商品の生産から出荷、食卓に並ぶまで、すべての工程に責任を持つことをコンセプトとしています。ごく一般的なお取り寄せとは住み分けており、生産者様から直接届くところにこだわっています。お肉に関しても、独自に生産者様にお会いして、この牛や豚はこのように育てられています、という情報とともに出荷しています。

――それは、お客様からのニーズがあったからですか? それとも御社内で、そうあるべきだという意見が出たのでしょうか?

両方です。「自分たちの食卓を預けるのはこの農家さん」というところにたどり着きたい社の願いと、「やさい便」を利用していただいたお客様から生産者様への感謝の言葉を非常に多くいただいたことが、サービスリニューアルの契機となりました。

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――生産者様とお取引するにあたって、どのような基準やルールを設けていますか?

まず生産者様のもとに直接お伺いして畑や農場を見せていただき、スタッフが自ら食べたいと思えるものかどうか、家族に食べさせたいと思えるものかどうかなど、弊社が大事にしている「ユーザーファーストの視点」で考えます。また生産者様に、どのようなこだわりや愛情があるかなどのお話を伺い、双方で密にコミュニケーションを取りながら出店を決定するという流れです。このように丁寧にやり取りをしていくことで、お客様に喜んでもらえる作物をお届けできると思っています。

――他社の類似サービスと差別化できる特徴を教えてください。

私どもと同じような生産者様から直接お客様へお届けするサービスは、非常に少ないと思っています。同業他社の類似サービスでは、センターに一度商品が集められて、そこから出荷されているという仕組みがほとんどです。その工程をカットすることで、数日早く商品をお届けできるので、弊社の提供している商品は鮮度が圧倒的によいと思っています。また、私どもは常日頃から「宝箱」と呼んでいるのですが、どんなものが入っているか分からないところに楽しみがあります。その地域でしか採れない、今までに見たことのない野菜や作物が入っていることもあります。

また、そのような珍しい食材も、注文画面上でクックパッドのレシピを紹介することで、食べ方や調理法が簡単にわかります。生産者様が管理画面からお届けする食材を入力すると、自動的にその食材を使ったレシピが抽出され、生産者様商品ページに掲載されるという仕組みです。また、現在はまだ商品ページとの連動はしていないのですが、クックパッドには食材の冷凍保存方法や解凍方法なども豊富に投稿されているので、将来的には、より使いやすくするために、下処理方法や保存方法なども連動できればと考えています。

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――ほかにお客様ビリティを考慮した機能はありますか?

定期便は発送を毎週・隔週・毎月から選べるのですが、今週はお休みしたいとか、配達時間を変更したいといったニーズが多く、それらをスマートフォンで気軽にできるような仕組みになっています。注文や変更、キャンセルの対応可能期限は生産者様の希望を聞いて設定していて、平均的に発送の3~4日前に締め切ります。定期便をご契約のお客様には都度メールを配信していますので、その際に変更・キャンセル希望があれば、ログインしてご変更いただくという流れです。

――サイト上で、生産者様の特長が「少人数向き」「フルーツ入り」など、アイコンで直感的に判別できるのがわかりやすいですね。

お客様から「フルーツを注文したいのですが、どこにありますか?」とか、「2人家族なんですけど、どのお店で頼めばいいですか?」などのお問い合わせをいただくので、それを生産者様にお伝えしてご自身で設定いただいています。常に「ユーザーファーストの視点」を忘れずにお客様が選びやすいように工夫をしています。また、お客様の口に入るものを販売していることの責任の重さを常に感じているので、必ず新商品のチェックを行い、商品の率直な感想など、お客様の声を生産者様へお伝えするようにしています。

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――取り扱う商品のカテゴリーを野菜、肉、魚、お酒、お水に決められた理由は?

料理が楽しく、食卓が楽しくなるような商品ラインナップを心掛けて、カテゴリーを選定しています。

――生鮮食品を取り扱うにあたって工夫している点はなんですか?

生鮮食品は、生産者様の作り方で、同じ野菜でも評価が異なる場合があります。例えば、お客様は色が悪いと言っているけれども、生産者様は品質的に問題がないと言っている、というようなことは多々あります。そうした場合は、私どもが「品質に問題はないので、このような食べ方で召し上がってください」という生産者様の声をお客様に届けます。そうして、生産者様とお客様が直接つながることが大切であると考えています。野球でいうとキャッチボールみたいなもので、そのようなやり取りなしではやっていけないと思っています。

――生鮮食品は天候にも左右されると思います。とくに、収穫量の少ない生産者様ですと、打撃も受けやすいですよね。

台風で農作物がなくなってしまい、深夜まで対応するということもあります。商品が用意できなかった場合はキャンセルとさせていただくこともありますが、小規模な生産者様から購入されているお客様の中にはそういった状況を理解していただいている方も多く、逆に生産者様を心配してくださっています。

――利用されているお客様の層と、利用の仕方について特徴があれば教えてください。

20代後半から40代の女性のお客様で主婦の方が多いです。定期便を利用している方は全体の約8割で、月2回発送の利用者がもっとも多いです。お試しで1回購入することができるので、定期便と合わせて、ほかの農家さんからもお試しで買ってみよう、というように利用されているのだと思います。

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