日本全国で生まれている「新しい実践」を発信し話題を呼んでいるWebメディア「コロカル」。その「コロカル」と連動し、地方の知られざる逸品をモノづくりのストーリーとともに紹介するECサイト「コロカル商店」。両サイトを統括する「コロカル」編集長・及川卓也氏と、同エディター・榎本市子氏にインタビューをお届けします。サイト立ち上げについてうかがった前編に続き、後編では知られざる地方の商品との出会いや、今後の展開について話をうかがいました。

及川卓也氏

地方のアンテナショップにいるようなおもしろさを感じてほしい

――運営スタッフは何名ですか? MDとクリエイティブスタッフは分かれているのでしょうか?

及川:スタッフは常駐は3名で、MDはいません。リンベルさんのMDと協力して商品を探したり、「コロカル」の取材時に気になった商品を担当編集者から情報をもらったり、それを「コロカル」商店でアップできないかというようなことを検討していきます。

――「コロカル商店」で商品を扱う際の決め手は何ですか?

及川:基本は「コロカル」で紹介している丁寧に作られているものや、地域の人たちが想いを持って作っているものを販売したいと思っていて、なかでも、よいものなのになかなか販売ルートにのらない商品などをできるだけ選んでいきたいなと思っています。

――ほかのECサイトで扱っていない商品を新規開拓することが多いのですか?

及川:そういうわけでもないです。他のECサイトにのっていないところは、のっていない理由があることがほとんどです。そもそも通販事業を理解していない、不安があるという年配の生産者の方もいますし、あるいは自社で既に直販のECサイトを運営しているから条件面で折り合わないこともあります。また、地域のものって、デザイン面でも商品の構成面でもあまり努力してないものもやはりあるんですよ。その一方で、地域の伝統を残していくことを目的にリデザインや商品企画をしている、意識の高い生産者も増えてきています。私たちとしては意識の高い生産者の方たちの商品の魅力をきちんと伝えていければ、けっこうな品揃えになってくると考えています。

――知られざる地方のいいものに巡り合うためには、地方のネットワークが必要だと思うのですが、どのように開拓をされたのでしょうか?

及川:まずベースとして「コロカル」として活動し発信していくなかで、しだいに地域で新しい活動をしている人や、読者から「こういうものがあるんだけど、どうだろう?」と情報が集まるようになりました。今、「コロカル」のFacebookページはいいね! 数が5万人を超えていて、反応率も非常に高いんですね。そこで認知度が高まり、情報が集まってきているという状況もあります。

「コロカル」のFacebookページ反応率が高いという「コロカル」のFacebookページ

Facebookは当初の予想よりも反応が高いのですが、ECサイトへのコンバージョンがまだ低い点が課題です。この商品はいいと思っていても、ほかの違うサイトで買っている可能性があるのではと。「コロカル商店」はあくまでも「見るサイト」になっていると感じることがあります。

――見せる、読ませるだけでなく、もっと買ってもらうサイトにすることが課題とのことですが、その対策として独自のポイントシステムや、御社サイトでしか買えないオリジナル商品やコラボ商品の開発などでインセンティブをつけていくことを考えていますか?

及川:オリジナル商品としては、岡山の「元浜倉庫焙煎所」とコラボしたコーヒーを販売しています。「元浜倉庫焙煎所」は、「コロカル伝説の連載」といわれる『マチスタ・ラプソディー』、そして現在連載中の『児島元浜町昼下がり』に登場する焙煎所です。元編集者の赤星豊くんとその奥様が運営していて、そこで「コロカル」のオリジナルブレンドを作ってもらいました。こうしたオリジナル商品は引き続き手掛けたいと思っていて、次はお米を考えています。お米屋さんと組んで、独自にセレクションした商品を準備しています。

コーヒー知る人ぞ知る焙煎所とのコラボ

――地方の名産を扱ううえで、注意していることはありますか?

及川:取材に入る時もそうなんですが、地方では人が「一生ごと」で携わっていることがとても多いです。メディアは比較的短期間に「マーケティングの観点から考えるとこうだ」とか、外部からの視点でコミュニケーションすることが得意ですが、それを安易にやりすぎて、せっかく一生をかけてやっていることが、ぶれたり変わってきたりしないよう気を付けなければいけないなと思っています。こちらの基準で「これは売れるよ」とか「こうデザインすればいいんじゃないの?」ということではなく、この地域に何があるのか、この商品はどういう背景でできているのかを垂直的に見たうえで、でもやっぱり「ここはこう変えられるんじゃないの?」とか「こういうふうなこともできるんじゃないの?」と物事を見ていくようにスタッフとも共有しています。

――それは、商品をサイト上で見せていく際にもこだわっていらっしゃる部分ですか?

及川:そうですね。なかなかすべての商品を深く取材して紹介することはできませんが、やはり商品の背景にある努力や時間、伝統など、どのようなモノづくりをしているかを目の当たりにすると、モノのよさが際立ってくる感覚はあります。とはいえ、モノって意義だけでは買ってもらえないですよね。商品そのものの魅力に加えて、掘り下げたときの物語の魅力が、ちゃんと表現できるようになればいいなと思っています。

――売れ筋の商品はありますか?

及川:これまでに一番売れたのは、富山の「タカタレムノス」のアイスクリームスプーンです。アルミニウムの熱伝導率の高さを生かして、手の体温で固く凍ったアイスを溶かしながらすくうことができる商品です。

富山の「タカタレムノス」のアイスクリームスプーン「口福」をもたらす アイスのためにつくられたスプーン

榎本:テレビでも紹介されたので、その後の反響が大きかったですね。

及川:本気で価値あるものを作っている生産者に対しては、消費者の反応が非常にあります。そういった消費者に対して、きちんと「いいものありますよ」というコミュニケーションを貫いていくのが、長期的にはいいのかなと思っています。

――「コロカル商店」でお買い物をされているお客様の層は?

及川: 都市部に住んでいる40代の女性が多いです。「コロカル」の読者は30代が多く男女半々なので、少し違う傾向が出ています。

――「コロカル商店」は会員・非会員ともに購入ができるシステムですが、今後会員を囲い込む施策などは考えていますか?

及川:会員には会員のインセンティブを提供したいと思っていますが、正直まだ追いついていない状況です。ですから、今はFacebookでいいね! を押してくれている5万人の方へのアプローチが重要かなと思っています。リスティングやリマーケティングも試しましたが、メディア発のECサイトにはもっと違うアプローチがあるのかなと思って今は止めています。独自のプロモーションや、広げ方をしていこうと考えています。

――今後の構想があれば教えてください。

及川:将来の構想としては、地域編集部みたいなものができて、「コロカル」「コロカル商店」が地域のポータルのような形になっていくと、もっと発信も需要も進むのではないかなと考えています。僕らが飛んでいくというよりは、各地域に目利きがいて、「こういう商品がいいんじゃないの?」と情報が集まってくるようにしたいです。現在も「コロカル」で、小豆島在住の醤油ソムリエール黒島慶子さんが連載をされていて、今後彼女が紹介する醤油を販売する予定です。将来的には、地方のアンテナショップに行くようなおもしろさを、「コロカル」商店に来たお客様に感じていただけるサイトにしたいですね。

日本醤油紀行醤油ソムリエール黒島慶子の日本醤油紀行

――最後になりますが、編集長にとって買い物とは何ですか?

及川:難しい質問ですね(笑)。買い物って衝動的なものでもあったりしますよね。これがちょっと可愛いとか、これが価値がある、おもしろいと思ったものを買う。その衝動の感じ方が昔と違ってきているのかなと最近は感じています。今は、地方に行って「あ、こういうものがあるんだ」という、「発見」や「感動」にお金を使っているかもしれません。

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コロカル商店

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