スマートフォンが普及した時代の購買活動に対応した新たなマーケティング手法として、アメリカ老舗百貨店・メイシーズ(Macy's)のT・ラングレンCEOによる「オムニチャネル・リテーラーになる」宣言とともに注目を集めるようになった「オムニチャネル」。実店舗・DM・ウェブ・SNS・ECサイト・モバイルデバイス等のチャネルを活用して顧客の購入満足度の上昇を目指すオムニチャネル戦略は、日本国内の百貨店でも数多く採り入れられています。

セブン&アイ・ホールディングスが本格的なオムニチャネル戦略を開始

日本国内のオムニチャネル戦略の事例として、オムニチャネル戦略を学ぶために幹部がメイシーズを視察したというセブン&アイ・ホールディングスがあります。傘下にそごうや西武百貨店も持つセブン&アイ・ホールディングスは、グループ各社のオンラインIDとパスワードを統一し、複数の業態に複数あるチャネルをインターネットでも実店舗でも活用できるオムニチャネル化を目指してきました。そして、2015年9月、「流通サービス革新の第2ステージ」と位置づける新たなサービス、「omni7(オムニセブン)」を11月1日にグランドオープンすることを発表しました。omni7は、セブンイレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂、そごう・西武、ロフト等、国内19,000以上の店舗拠点を生かし、留置きサービス拡大や店舗での返品・返金といったサービスを行うシステムで、2018 年度には約600万品目の品揃えを目指すとしています。

omni7の主なサービス
・留置きサービス拡大
・店舗での返品・返金サービス
・店舗でのお急ぎ受取りサービス(関東1都6県・約7,000店)
・店舗への365日配送(関東1都6県・約7,000店)
・店舗での接客端末による御用聞き(当初6,000店、順次拡大)

omni7.jpg

クリック&コレクトや専門オークション・サイト、ゲームとの連動を進める大丸松坂屋

大丸松坂屋ではクリック&コレクトというECストアで購入した提携ブランド製品を大丸・松坂屋の店舗で試着後に受け取れるサービスや美術品のオークションを店舗とインターネットで行える富裕層向けのサービスを導入しています。また、大丸東京店ではマピオンのゲーム、ケータイ国盗り合戦を使った集客・購買促進のキャンペーンを行うなど、さまざまなチャネルを使った施策を打ち出しています。

daimaru.jpg

高島屋はスマートフォン用アプリを開発・提供

高島屋では、オンラインと店舗の顧客データ、品揃えと在庫管理を一元化、ロジスティクスの見直しに投資を行いながら、オンラインショップでの店頭在庫確認やバーチャル試着、商品のコーディネート例や動画情報を表示するインタラクティブハンガーの導入、タッチパネルで商品を検索するスマートラウンジの設置、カタログ冊子の画像をスマートフォンで読み取って詳細確認やオンラインでの購入が可能な専用アプリを開発・提供するなど、積極的なオムニチャネル化を計っています。

Takashimaya1.png

オウンドメディアを活用する三越伊勢丹

三越と伊勢丹という2つのチャンネルを持つ三越伊勢丹では、もともと別々にあったオンラインショップの入り口は維持したまま、同じIDで利用できるようにシステムを統合。それぞれの個性やブランド・イメージを維持しながら顧客情報を集約する戦略を採っています。たとえば、ファッション系の総合情報サイトの"Fashion Headline"や店頭では伝えきれない商品情報などを盛り込んだ"ISETAN PARK net"、専用アプリと連動した"ISETAN MEN'S net"といった独自メディアを立ち上げるなど、さまざまな形でオムニチャネル化を行っています。

Isetan1.jpgIsetan2.png

エイチ・ツー・オー リテイリングは関西の基盤を生かした地域密着型オムニチャネル戦略を展開

阪急百貨店と阪神百貨店、高級食品スーパーの阪急オアシスを展開するエイチ・ツー・オー リテイリングでは、経営統合した関西に基盤を持つスーパーのイズミヤまで含む形の業態を超えたオムニチャネル化を関西エリアに特化して展開する戦略を採用。顧客がいつでもどこでもグループ内の店舗・ウェブサイトで買い物することができる仕組みや、エイチ・ツー・オー リテイリングの個別宅配とイズミヤのネットショッピングを連携させた宅配サービスを構築するなど、地域に密着したユニークなオムニチャネル戦略を目指しています。

本格的なオムニチャネル時代へ

ここで紹介した百貨店業界をはじめとして、さまざまな業界でオムニチャネルはますます注目を集めることになりそうです。なぜなら、自社サービスのオムニチャネル化は「顧客満足度をどう最大化するか」という商売の本来のあり方を見直すことに他ならないからです。

また、セブン&アイ・ホールディングスがサービス名称を「omni7(オムニセブン)」とし、ロゴや梱包箱に統一デザインを使用することで、そのサービスの利便性だけでなく「オムニ(チャネル)」という用語とその意味がより広くユーザーレベルにまで周知・認識されることも予想されます。その結果、さまざまな業種でより一層のオムニチャネル化に拍車がかかり、本格的なオムニチャネル時代に突入することになるでしょう。

omni7 logo.jpegomni7 package.jpg

物流システムの構築やECサイトのコンサルに関するお問い合わせは
  Info*dentsu-ec.jp  まで


※「*」を「@」に変えてください。