経済産業省が発表した「平成25年度電子商取引に関する市場調査」からは、電子商取引(EC)に関するさまざまなことを読み取ることができます。その市場調査結果の中からBtoC(企業と個人の商取引)のEC市場に焦点をあて、前編では総合小売業、宿泊・旅行業、家庭用品・日用品の分野について取りあげました。後編では情報通信業、アパレル業、健康食品市場、医薬品市場の調査結果をご紹介します。

スマートフォン抜きには語れない情報通信業

情報通信業においてはスマートフォン市場の急成長を抜きには語れません。2012年のモバイル・コンテンツの市場規模は前年比116%の8,510億円で、フィーチャーフォン市場の急速な縮小とは対照的に、スマートフォン等市場が前年比461%の3,717億円と急成長しました。ゲーム、ソーシャルゲーム等が2012年のスマートフォン等市場の70%を占め、前年比542%の2,607億円を記録しており、ネイティブ・アプリや電子書籍、動画配信等も成長傾向にあるものの、現状では圧倒的にゲーム中心の市場であるといえるでしょう。

 そんな市場規模が拡大していく中で、音楽配信については縮小傾向が続いています。2012年のフィーチャーフォン向け音楽配信市場規模は前年比61%の754億円にまで縮小し、前年比で着メロ市場規模は70%、着うたは59%にまで落ち込みました。一方で、PCとスマートフォンを合わせた音楽配信市場規模は成長しているものの2012年の数字で180億円にすぎず、フィーチャーフォン市場の縮小をスマートフォン等市場が補っているとはいいがたい状況です。




注:インターネット接続可能なオープンOS 上でアプリ、ブラウザ等を用いて汎用的な利用ができる端末をスマートフォン等(タブレットも含む)とし、スマートフォン等にかかるデジタルコンテンツ(アプリ含む)を販売する市場を「スマートフォン等市場」と定義。なお、インターネット接続は可能であるがゲームタイトルのみをダウンロードするゲーム専用端末や、ノートPC の市場は含まれません。

アパレル分野はスマートフォンを上手く活用

アパレルに関しては素材やフィッティングなどが重視される傾向が強いため、これまでは実店舗での販売が中心でした。しかし、スマートフォンやタブレットといったデバイスの登場、通信環境等のインフラの性能・機能向上により高解像度の画像や動画などで商品の詳細情報を提示できるようになりました。これにより、商品の比較・購買のストレスが軽減され、ECでの売上増加につながったと考えられます。また、広告分野においてもファッション系ブランドの動画広告が増加傾向にあるといいます。

data05.png

大手アパレルECサイト「ZOZOTOWN

data06.png

スタートトゥデイによるスマートフォンアプリ「WEAR

大手アパレルECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは2013年3月期の売上で前年比110.2%の350億5,000万円を記録し、2014年3月期は前年同期比110.8%となるなど堅調に成長しています。同社は2013年10月より新サービス「WEAR」の提供を開始。これは、著名人や消費者によるコーディネートの投稿・SNS機能での共有、アイテムの管理、購買までの導線の提供等を行うスマートフォンアプリで、サービス開始から約半年でダウンロード数が100万を超えています。これにより、PCだけでなく、スマートフォン、マルチデバイスを使ったECの潜在需要が高いことをうかがえます。

data07.png

大手アパレルメーカーのワールドに買収された「FASHIONWAKER

また、大手アパレルメーカーのワールドによるFASHIONWAKERの買収、楽天によるスタイライフの子会社化など、ファッション通販モールの買収・子会社化も活発になっています。

高齢化を背景に健康食品市場の拡大が加速

高齢化や健康への関心の高まりを背景に堅調な推移が予測される健康食品市場。通信販売は年々増加しており、2012年度にはメーカー出荷金額ベースで前年度比101.6%の2,800億円と市場全体における構成比も上昇しています。その中でのECを利用している割合も年々上昇していて、"健康+EC"をキーワードにサービスを展開するケンコーコムは2013年第3四半期のスマートフォンおよびタブレット経由の売上が6億4,200万円となり、前年同期に比べ約2倍に成長しています。

data08.png

"健康×EC"がキーワードの「ケンコーコム

ネットの医薬品販売は拡大傾向

また、ケンコーコムは医薬品の分野でも規模を拡大しています。医薬品に関しては、2012年12月に薬事法の改正案が可決・成立したことにより、2009年から規制されていた医薬品のEC販売が可能となりました。一般医薬品に関しては適切なルールのもと、法改正直後の品目については原則3年で一般用医薬品へ移行させてEC販売可能となるため、医薬品EC市場規模は急速に成長する可能性が高いと予測されています。中でもケンコーコムは日本国内での医薬品のEC販売が規制されていた時期に、日本向け等の一般用医薬品販売サービスを提供する子会社をシンガポールに設立し、2012年度第2四半期には四半期の売上高が1億円を超える規模に成長しています(2012年の薬事法改正以降は日本国内でのEC販売を再開しています)。

まとめ

日本のBtoC市場規模は11.2兆円となり、前年比17.4%の増加となりました。業種別にみても、前年に比べてECの占める割合が拡大しています。その要因として、スマートフォンの存在が大きいといえるでしょう。実店舗だけでなくPC、スマートフォン、タブレットなどを用い、買い物の手段が増えることで、ECの発展が今後も期待できそうです。

(引用・参照元)平成25年度電子商取引に関する市場調査

この記事やECサイトのコンサルに関するお問い合わせは
Info*dentsu-ec.jp まで

※「*」を「@」に変えてください。