経済産業省が発表した「平成25年度電子商取引に関する市場調査」からは、電子商取引(EC)に関するさまざまなことを読み取ることができます。今回は、その膨大な市場調査結果の中でもBtoC(企業と個人の商取引)のEC市場に焦点をあて、気になるトピックスをまとめました。前編では総合小売業、宿泊・旅行業、家庭用品・日用品の分野についての調査結果をご紹介します。

実店舗との連携を図る総合小売業

自動車販売や家電販売を含む2013年の小売業全体の販売額は前年比101%の138兆8,970億円で、全体の規模としては横ばい傾向でした。百貨店や総合スーパーが減少傾向であるのに対し、コンビニエンスストアやドラッグストアと並んで増加傾向にあるのがECを含む通信販売業で、カタログ通販系・テレビ通販系の通信販売業でもECによる販売額は年々上昇傾向が続いています。また、百貨店や総合スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアといった実店舗での販売をメインとしてきた市場でもECの売上比率は上昇傾向にあります。


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老舗百貨店が注力しているECサイト「高島屋オンライン

全体の売り上げが減少傾向にある百貨店でも積極的なECへの取り組みやスマートフォンの活用が見られます。たとえば、高島屋は独立したEC事業戦略から全国にある拠点を活かし、ECと実店舗の連携によりどの販売チャネルからも同じように商品を購入できる「オムニチャネル戦略」にシフトしています。ECでの売り上げだけをみるのではなく店舗・PC・スマートフォンなどタッチポイントを増やすことで全体の売り上げの増加を図っているのです。また、ウェブサイトのスマートフォン最適化を行ったところ、スマートフォン経由の需要が急激に増加しているといいます。

ECで大きな存在感を示しているのはやはりAmazonと楽天です。Amazonの日本における2011から2012年にかけての売上高は前年比119%で成長し、2013年は前年比97.9%ながら売上高7,639億円と公表しています。楽天はマーケットプレイス(モール)型中心のプラットフォーム事業を展開する「楽天市場」以外にもさまざまなEC関連サービスを抱え、2013年のEC関連サービス全体の流通総額は1兆7,335億円となっています(2013年第4四半期は前年同期比の123%)。

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老舗カタログ通販「ベルメゾン

また、ベルメゾンブランドで知られるカタログ通販大手の千趣会は2013年度の通販事業の売上高が前年比97%の1,264億9,800万円でしたが、インターネット経由の売上高は前年比102.1%の814億円と増加基調にあり、特にスマートフォン経由の売上高は前年比231%の180億円と急成長しています。こうした伝統的な通販系事業社においても、ECチャネルが成長分野であり、スマートフォン対応が重要な戦略となっていることが伺えます。

急速に成長している宿泊・旅行業のEC

宿泊・旅行業もECが急速に成長している分野のひとつです。実店舗でなく、ECで展開している楽天トラベルは、2013年度の予約流通総額が5,473億円。前年比115%に成長しています。

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JR東海の新幹線利用者向け「エクスプレス予約

インターネットを利用した個人での宿泊・移動チケットの手配・購入も急増していて、JR東海の新幹線利用者向けのエクスプレス予約は、2013年9月末時点で会員数約223万人、平日1日あたりの利用件数は約11万件となっています。実店舗での販売が縮小している旅行代理店においてもECのみで扱う商品を拡充する措置をとっています。

家庭用品・日用品の分野もECを活用

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家庭用品・日用品を取り扱う「LOHACO

これまでは実店舗が中心だった家庭用品・日用品の分野でもECの活用が進んでいます。オフィス用品・現場用品大手通販のアスクルは2012年にヤフーと業務・資本提携してBtoC向けECサービスのLOHACO(ロハコ)を開始し、2014年第3四半期の売上は前年同期比146%の35.9億円となり、通期で100億円を目標に据えています。また、LOHACOや市場のビッグデータを解析し、それをもとに実証する「LOHACO ECマーケティングラボ」を設置。これにより、EC市場における最先端のマーケティング手法の開発や、ECの普及による効率的な社会システムの実現に取り組んでいます。

オフィス用品などが増加傾向の一方で、家庭用品・日用品・電気製品は品質、機能、形状などの競争における差別化が難しく、価格競争が激しくなる傾向にあります。特に電気製品におけるEC経由の売り上げは成長基調にあるものの、価格.comなどの比較サイトで最低価格をあらかじめ調べてから量販店で価格交渉をするという消費行動もみられています。こうした市場環境をうけ、ポイントサービスを利用し付加価値をつける企業も多くみられます。




後編では情報通信業、アパレル業、健康食品市場などのトピックスをご紹介します。


(引用・参照元)平成25年度電子商取引に関する市場調査

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